研究概要 |
ラグを有する農業用タイヤ単体の振動特性について,実験モード解析手法により半径方向の固有振動数と固有振動モードを非接地時と接地時の双方について調べた.次に,ラグ特性としてタイヤ剛性の不均一性を考慮する為,弾性リングがラグ数と、同じ数のばねで支えられた円環モデルでタイヤをモデル化し,それぞれのばね剛性の不均一性も考慮した状態で解析的に固有振動数を算出する方法を確立した.更に,解析的に算出された固有振動数と振動試験で得られた固有振動数とを最適化手法により同定することで,タイヤ剛性のパラメータを不均一性を考慮した状態で簡易的に算出する方法を確立し,境界条件がタイヤ剛性に及ぼす影響について調べた.その結果,以下の知見が得られた. 1.非接地時,接地時共に,タイヤ半径方向の固有振動数は1次から6次のモードに対応するものが確認でき,接地することにより固有振動数は減少することが判明した. 2.弾性リングが複数のばねで支えられた円環モデルでタイヤをモデル化した系の非接地時と接地時の固有振動数を解析的に算出する方法を確立した. 3.実験的に直接計測することの難しいタイヤ剛性等のパラメータを,不均一性も考慮した状態で簡易的に算出する方法を確立し,また得られた結果の妥当性を固有振動数と固有振動モードの比較により検証した. 4.パラメータ同定の結果から,非接地から接地によって曲げ剛性とばね定数が減少することが確認でき,ばね定数のばらつき(不均一性)に関しては接地時の方が低減されることが判明した.
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