研究概要 |
鉄鋼や鋳造業における溶湯搬送では,高温で重量のある溶湯を,安全に且つ効率的に運ぶために,溶湯タンク内の液体の振動(スロッシング)を抑え,目的地に短時間で自動的に搬送する天井クレーンシステムの役割は大きく,その自動化,自律化が望まれている.本研究では,タンク内のスロッシングを抑え,目的地に短時間で自動的に搬送する「安全性と効率性を考慮した自律走行天井クレーン液体タンク搬送制御システムの開発」を行う.研究の初年度として,現有のクレーン実験装置に,ロッドと液体タンクを取り付け,申請者らが従来行った研究,「3次元液体タンクの最適搬送制御と液位,粘性変化に対する制振ロバスト性」(システム制御情報学会論文誌,Vol.40, No.4, 1996, pp.12/21)で得られた知見をもとに調査を行い,スロッシング発生のメカニズムを解明した.まず,用いるタンク形状としては,直方体タンクや円筒形タンクを用い,それぞれ液体の液位や粘性の変化について調査した.これにより,スロッシング抑制の効果のあるロッド長さとタンク形状の最適設計条件の知見を得た.また,タンク内の一次モードのスロッシングについて,簡易振り子を用いた数学モデルの導出を行い,そのモデルに基づいたシミュレーション解析と実験解析の比較を行い,モデルの妥当性の検証およびスロッシングメカニズムの解明を行った.以上の成果により,自律走行天井クレーン液体タンク搬送制御システムに関する基礎的知見を得ることができた.
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