研究概要 |
鉄鋼や鋳造業における溶湯搬送では,高温で重量のある溶湯を,安全に且つ効率的に運ぶために,溶湯タンク内の液体の振動(スロッシング)を抑え,目的地に短時間で自動的に搬送する天井クレーンシステムの役割は大きく,その自動化,自律化が望まれている.本研究では,タンク内のスロッシングを抑え,目的地に短時間で自動的に搬送する「安全性と効率性を考慮した自律走行天井クレーン液体タンク搬送制御システムの開発」を行う.昨年度の研究で,スロッシング発生のメカニズムについて,タンク形状,液体の液位や粘性の変化について調査した.また,タンク内の一次モードのスロッシングについて,簡易振り子を用いた数学モデルの導出を行い,モデルの妥当性の検証およびスロッシングメカニズムの解明を行った.本年度は,昨年度導出したモデルのさらなる検証を行い,タンク形状,ロッド長さの違い,特にタンクの大きさと液位レベルの違いによるスロッシング発生のメカニズムの調査を行い,搬送抑制のための最適設計条件の知見を得た.また,制振性に効果のある目標軌道の生成するフィードフォーワード制御による制振搬送制御システムと障害物回避のための回避システムの開発,さらに,限られた情報で回避経路を導出できるSrinivasらが提案している手法を用いた障害物経路計画システムの開発を行った.今後の課題として,目標軌道への追従性を向上させるフィードバック制御系を組み合わせた2自由度搬送制御系の開発や実システムへの適用があげられる.
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