研究概要 |
近年開発されている磁気軸受やセルフベアリングモータを利用した体内埋め込み型の人工心臓ポンプは, システムの簡略化や小型化の要求から, 浮上回転制御されるロータのいくつかの自由度を受動安定性に依存させたシステムを採用している。受動安定性を利用するシステムは, 減衰特性が極めて低いため, 共振周波数での不安定振動の発生や患者が転倒しポンプに大きな加速度が加わるような突然のアクシデントに対し, その安全性や信頼性という最も重要な点で問題が残っている。 本研究では, この問題を解決するために, 浮上回転する単一の永久磁石ロータを, 受動安定性を利用せずに5軸全て能動制御可能とすることで, 小型化と高性能化が同時に実現可能な新方式のセルフベアリングモータの開発を目的としている。 本年度は, 5軸制御セルフベアリングモータを人工心臓に適用するために, 最大巻線電流2A, 耐衝撃加速度5Gおよび回転トルク30mN・mという条件のもとで, 有限要素法による3次元磁界解析により小型化のための解析を行った。その結果, インナー型ロータでは外径φ58.5, 幅25mm, アウターロータ型では外径φ59, 幅36mmにおいて, 磁気飽和の影響もほとんどなく設定目標を達成できることを確認した。また, 浮上巻線はステータ中央突極に配置したほうが相互作用の影響が少なく, より小型化できることが分かった。
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