研究概要 |
目的の概要 本研究の目的は,「人間相手の医療行為を模擬的に実習できる人間の個性と感情を工学的に具現化した看護実習用患者ロボットの研究開発」である.人間の感情モデルの確立とカオス制御による個性創出のための基礎研究を行う. 本年度(平成19年4月1日〜平成20年3月31日)の研究成果 【看護実践能力を評価する看護基礎データの取得】担当:福井医療短期大学,朝倉俊行 感情モデルと生理モデルから成る内部状態記述モデルの構築の準備のため,患者ロボットの感情モデルの挙動をカオスにより発生させ,これを元に患者ロボットの表情や上半身の動作を作り出した.次にこの動作を,注射実習を受ける患者ロボットの痛覚に反応する動作や恐怖に由来する動作として生成させた.さらに福井大学医学部看護学科でこのロボットを用いた注射実習を実施し,看護学生から見て予測不可能なカオス的患者ロボットの挙動が,看護学生から見て人間らしく感じられ実習学生の脈拍数が上昇するなどの効果があることを確認した. 【視覚認識・感覚認識センサ系の構築】担当:前泰志 「視覚認識系」の研究成果としては複眼による3次元位置・姿勢の実時間認識方法を提案し,その有効性をシミュレーションで確認した.この成果は以下の研究論文雑誌にすでに掲載されている.またこの新しい認識方法とロボットのダイナミクスに依存する運動との関係を議論した論文を日本ロボット学会に投稿中である. 【内部モデル記述 -感情モデル・生理モデルの作成-】担当:朝倉俊行,見浪護 (1)感情モデル・生理モデルニューラルネットワーク(N. N.)を用いて多入力多出力の非線形微分方程式表現を用いて,多様なカオスを生成す試みは1年間継続しているが未だ成功してはいない.
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