研究概要 |
力学系の引き込み・同調を利用したパワーアシスト装置の制御法を提案し,その有用性を操作性の視点から検証することを目的として研究を進めた.昨年度,シミュレーションにより,その有用性を確認することができたため,今年度は制御実験により,同調性,アシスト効果,操作感の観点から提案手法の評価を行った.そのために,膝関節用1自由度モーションアシスト装置を開発した.相互作用力を計測するために,ハーモニックドライブギヤ内蔵型トルクセンサを試作し,装置に組み込んだ.また,装着者の負担評価のために筋電位計を購入し,パソコンにデータを記録できるようにした.モータにはACサーボモータを用い,アシスト装置を駆動させた.その結果,同調性を高めることにより,アシスト装置と人間との相互作用力が小さくなり,滑らかな運動が実現できることが分かった.また,同調性を適度に設定することによりアシスト効果が得られることが,筋電位計測から明らかとなった.さらに,一般的なコンプライアンス制御と提案手法の一対比較法による心理実験により,提案手法が操作性,柔軟性,アシスト性という点で優れていることが分かった.これらの制御実験により,提案手法の有用性が示された.そこで提案手法を歩行アシストに適用するために,下肢4自由度のモーションアシスト装置を試作した.モータの軽量化を行い,ハーモニックドライブギヤ内蔵型トルクセンサと一体型のものを用いた.全体で7Kgの重量で製作でき,装着可能となった.
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