研究概要 |
人間は他の人間とスムーズに協調して作業を実行できる.例えば,1つの荷物を数人で運ぶ運搬作業を考えると,他の人間の動きに合わせて巧みに協調しながら自己の運動を決定している.本研究の全体構想はこのような人間のスムーズな協調制御特性を操縦システムの制御に適用し,非常に操作性の良い操縦システムを開発することである.このような構想の下,平成20年度では平成19年度に引き続き,人間の協調特性の解析を行った.その結果,人間どうしがスムーズに協調動作を行うには,人間が本来から持つ運動パターンをフィードフォワードとして再生することが重要であり,フィードバック制御を行うと,スムーズな運動パターンが生成されないことが分かった.次に,人間の協調動作のみならず,人間の重量知覚特性もパワーアシスト制御系の操縦性向上の重要なファクターであることが分かり,その特性についての解析も行った.これには,簡易型1自由度直動型のパワーアシスト装置を試作した.その結果,人間は自分の重量知覚に基づいて,物体に加える力の変化率を変更していることが分かった.これは,パワーアシスト系の制御手法に適用できる従来にない新しい知見である.以上の解析結果を現有の3自由度直交型パワーアシスト装置で検証するため,さらに,1自由度の回転動作ができるような機構を設計するとともに,人間の操作状態を把握するため,筋骨格モデルシミュレーションシステムANYBODYを購入し,筋活動を解析できることを確認した.今後の課題として,解析した人間の特性を組み込んだパワーアシスト操縦系の筋骨格特性に基づく評価が上げられる.
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