本年度は、以下の3点について研究を進め、成果を得た。(1)マッサージ用ロボットハンドの製作とその評価、(2)可変剛性関節を搭載したハンドおよびアーム機構の開発と基礎特性の検証、(3)運動時の人の関節特性の調節に関する解析。(1)については、前年度に製作したクッションを関節部に搭載したロボットフィンガ3本により構成されるハンドを用いて人の体を撫でる作業を実行した。その中で、接触力或いは摩擦力を一定に保つ動作が実現でき、安全かつ安定な接触作業の実現を確認した。(2)については2通りの剛性可変機構を採用し、ハンド、アーム機構への搭載を行った。まず、関節部に組み込んだ薄板の姿勢制御による剛性可変方式を2関節ハンドシステムに取り入れ、高速(100ms以下の剛性調節)かつ広範囲(3倍程度〉の剛性可変を実現できることを確認した。一方、(1)の方式を基礎として、その内部のクッションを圧迫する機構を新たに取り入れ剛性を調節ができるように改良した。アーム関節機構に採用し、2倍の剛性可変を得ることに成功した。 最後に(3)については、物体を受け取り、投げ上げる際の手指関節運動の解析を行った。この結果、関節駆動のタイミングを微妙にずらすことにより、骨格筋の伸展-収縮反応を生じさせ、受け取りから投げ上げに移行する際の関節剛性調節を円滑に行っていることが推察された。 以上の結果は、国内投稿論文1編および、国際学会論文2編、国内学会論文3編にまとめ公表(予定も含む)した。
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