研究概要 |
医療・福祉の現場や日常生活で人と接して作業を行ういわゆるヒューマン・フレンドリーロボットの研究開発は,我が国の戦略重点科学技術課題の1つであり,国民や産業界から大いに期待をされている.しかし,ロボット暴走時における安全対策に関する研究は十分ではないと考えられる.本研究では,人に対するロボットの安全性の更なる向上を目指し,ロボット暴走時にロボットの暴走を機構的に検知し,機構学を駆使して食い止める安全装置を提案し,実際に安全装置の設計および開発を行なう.本年度は,昨年度本研究で提案・設計・試作した安全装置を多自由度(3自由度)の腕型ロボットに組み込んだ場合においても安全装置が目的どおり作動するか否かを明らかにすることを主目的とし研究を実施した.具体的には,まず,昨年度試作した安全装置を多自由度(3自由度)ロボットに搭載できるように詳細設計し,3自由度分の安全装置の製作を行った.また,安全装置を搭載した3自由度ロボットの基本設計・詳細設計を行い,ロボットの製作および制御システムの構築を行なった.さらに,製作した3自由度腕型ロボットを用いた安全装置の動作実験(擬似的なロボット暴走時の状態をロボットのモータを制御することにより生み出し,安全装置が目的どおり作動するか否かの動作実験)を行なった.その結果,試作した安全装置は,ロボット暴走状態において,ほぼ目的どおり作動し,試作した安全装置によりロボットの暴走を食い止めることができることが確認された.
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