研究概要 |
これまでは人間-機械協調型ロボットにおける人間行動モデル構築に,確定的なハイブリッドダイナミカルシステムをベースとしたモデル化手法を用いてきた。しかし,人間は同じ動作においてさえ再現性は完全ではない。再現性の低い行動を行う人間を同定対象とした場合には,人間行動モデルが精度良く構築できないという問題がこれまでの研究で明らかとなった。このため,本研究では人間の非一様性への対応のために,人間-機械協調型ロボットシステムにおける確率情報に基づくハイブリッドダイナミカルシステムを用いた人間行動モデル構築手法を確立することを研究目的とした。 確率型モデルを構築するために使用するモデル構造を各種検討した結果,尤度によるモデル類似評価が行える隠れマルコフモデル(HMM)を人間行動モデル表現に採用することとした。HMMにより被験者の人間行動モデルを構築し,尤度によるモデル類似評価によって人間行動モデルの分類を行った。5人の被験者に対して行動モデルを構築し,分類を行った結果3つのグループに分類された。また,視点を変えて被験者の操作軌跡毎にHMMによる人間行動モデル構築を行った。5人の被験者の全てのデータをまとめて分類を行うと,同じ被験者の操作軌跡の中でも異なる行動モデルと判定されることがあり,他の被験者の行動モデルと類似すると判断されることも確認された。このように,これまでの人毎に設計していたアシスト制御系ではなく,人間の操作のばらつきを考慮し,類似操作毎にアシスト制御系を設計することで人の行動のばらつきに対応したアシストが実現できることが確認された。
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