これまで、人間-機械協調型ロボットにおける人間行動モデル構築のため、確定的ハイブリッドダイナミカルシステムをベースとした人間行動のモデル化手法を用いてきた。しかし、人間は同じ動作でも一様な再現性は持たない。このため、本研究では人間の非一様性への対応のために、確率的ハイブリッドダイナミカルシステムを用いた人間行動モデル構築手法の確立を研究目的として、尤度という評価指標によりモデル類似性評価が行える隠れマルコフモデル(HMM)を人間行動モデル表現に採用した。本研究ではこの確率型人間行動モデルを、人間-機械協調型ロボットで一般的に用いられる可変インピーダンス制御系の最適なインピーダンスパラメータ選択への応用を考えた。被験者20名の位置決め操作データを用いて、従来の確定的人間行動モデルによって設計された各被験者のアシスト制御系の最適パラメータ値のグルーピング結果と、HMMによるグルーピング結果を比較した。その結果、グルーピング結果はほぼ同等であり、HMM表現された人間行動モデルにより作業者の行動特性分類が可能であることを確認した。さらに、実際の作業中にオンラインでリアルタイムでの行動特性認識を行うために、HMMに与える行動データを行動開始から現時点までの区分系列データとして尤度判定を行う手法を提案した。実験より区分系列データでの尤度判定で行動特性の認識が行えることを示した。さらに、パラメータ選択が必要となる時点までに、人間行動特性の認識が行えることを確認し、提案手法の有効性が検証できた。
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