研究概要 |
糖尿病や脳溢血などで運動機能が低下する高齢者が増加し,要介護者に対する介護支援者の人手不足は避けられない問題になりつつあり,身体機能をサポートする機器の開発が強く望まれる.そこで,我々は人体に実装できるソフトアクチュエータの柔軟性を損なうことなく変位量が測定できる柔軟な変位センサの開発を行ってきた.これらのアクチュエータは電磁ノイズが発生しにくく,人体の意思伝達装置として用いられる筋電センサとの親和性が良い.現在,これら人体に直接取り付ける駆動システムの実用化の障害となっているのは,意思伝達装置としての入力システムである. そこで,本研究では,柔軟性を有した筋電/筋音センサの開発と柔軟な変位センサとの一体化を考慮した筋電・変位センサの開発をめざす.まず,複雑な人体の動作計測を行う簡便なセンサの開発をめざし,先に開発した炭素被覆ナイロンを用いた糸状柔軟変位センサを用いて人体の表面変位を計測することができる『表皮変位センサ』の開発を行った.そして,電極などの工夫を行い,腕の表皮に絆創膏のように貼り付けて使用できる表皮変位センサを実現した.次に,このセンサ出力電圧と腕の関節角度やねじり回転角度との関係を調べ,センサ貼り付け位置を適切に選ぶことや複数センサを組み合わせることにより,センサ出力電圧から関節角度等が推定できることを確認した.さらに,加速度センサを2つ用いて,筋音に及ぼす人体運動の影響を取り除くことができる差動式筋音センサを提案・試作し,実験した結果,筋音だけを取り出せることを確認した.
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