研究概要 |
売電用電源および予備力用電源の参入地点が与えられたとき,電源と送配電ネットワークからなる電力系統によって,潜在的にどの程度の電力を負荷に供給できるかを算定する手法を開発した.提案手法は,電源ならびに送配電設備の故障を模擬したモンテカルロシミュレーションをべースとしながら,さらに故障発生前の予防制御,故障発生後の制御を,発電機の出力変化率制約の下で実行する状況を考慮できるよう拡張したものである。すなわち,電源や送配電ネットワークのトポロジーや故障率に基づく長期的な信頼度に,セキュリティ制御に基づくオンライン信頼度を加味したより実際的な信頼度を評価するものである。これにより,応答性の良い予備力用電源を効果的に活用するための送配電設備の増強・拡充方策や,逆に送配電設備が所与であるときの予備力用電源の望ましい調達方策など,運用上の制約を考慮した設備計画を算定することが可能となった。 また,一部の電力市場で採用されている地点別限界費用に基づくノーダルプライシングを適用した場合,送電線混雑などのセキュリティ低下につながりうる箇所に対しては混雑料金が発生するため,系統運用者に対して設備投資への経済的シグナルが提供されるといわれている。そこで,予防制御を考慮した最適潮流計算結果から,想定事故を考慮したノーダルプライスを算出し,この価格差,すなわち設備投資に対する経済的シグナルへの影響を評価した。
|