研究概要 |
本研究の目的は, 水トリーの微細構造を詳細に測定し, これを基に詳細な水トリーの3次元等価回路モデルを作製, 水トリー伸展の様子や水トリーの検知の最適化についてシミュレーションすることを目、的としている。初めに, 水トリーの伸びの変化に対する前方突出箇所の、広がりの要因を調べるために, 水トリー劣化試料の水トリー劣化部と絶縁体健全部に加わる電圧比を計算し, 損失電流波形歪みの変化傾向と比較した。その結果, 電圧比が1を超えた付近から損失電流波形の後方突出から前方突出への移り変わりが見られ, さらに電圧比が高くなると中央突出に変化することがわかった。次に, 水トリーの電圧-電流特性を導電性が高い特性, 導電性が低い特性に変化させて, 印加電圧, 周波数, 水トリーの伸びの変化による損失電流波形歪みの変化傾向を調べた。その結果, 水トリーの電気特性の変化による損失電流波形歪みの変化傾向に違いは見られなかった。ただし, 水トリー特性の違いによって損失電流波形の前方突出の広がりの大きさに多少の違いがあることがわかった。以上のことから, 水トリーの損失電流波形歪みの印加電圧, 周波数, 水トリーの伸びに対する変化傾向がわかった。また, 水トリーの特性が変化しても多少は電圧比, 波形歪みの広がり方には差があるものの, 損失電流波形歪みの変化傾向は変わらないということがわかった。
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