研究概要 |
電気自動車の駆動方式として2台、若しくは4台の永久磁石同期電動機を車輸に埋め込み使用するインホイールモータ方式が提案されている。この方式では、各車輸を独立に制御できるため、走行安全性が高められるなどの利点がある。しかし、永久磁石同期電動機は、回転子位置に同期してインバータを制御する必要があるため、一台の電動機に対してインバータが一台必要になり、価格の上昇につながってしまう。そこで本研究では、この問題に対し、通常の三相インバータと同じ6つのスイッチングデバイスを用いた1台のインバータで2台の永久磁石同期電勣機を独立制御可能な回路方式を新たに提案し研究を行っている。 今年度は、これまでにシミュレーションで得られていた基本特性を実験により検証するために以下の項目を実施した。 (1)実験装置の製作と制御装置の開発 (2)効率の実証試験 (3)キャパシタ電圧の変動を考慮した制御法の検討(シミュレーション)これらの検討により以下の成果が得られた。 (1)事前に得られていたシミュレーション同様に、二つのR-L負荷に対して周波数及び振幅を変えた指令値に対して、独立した出力が得られることが確認できた。 (2)直流電源電圧100V、スイッチング周波数20kHz、電圧指令値5V,200Hz及び10V,400Hzとし、R=6.6Ω、L=7.59mHの負荷を接続したときの効率は、80.39%であった。 (3)キャパシタの中性点電圧の補償法として、瞬時値補償法と平均値補償法の2種類を提案しシミュレーションを行った結果、定常状態では平均値補償法の方が良好な結果が得られることが示された。
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