電気自動車の駆動方式として2台、若しくは4台の永久磁石同期電動機を車輪に埋め込み使用するインホイールモータ方式が提案されている。この方式では、各車輪を独立に制御できるため、走行安全性が高められるなどの利点がある。しかし、永久磁石同期電動機は、回転子位置に同期してインバータを制御する必要があるため、一台の電動機に対してインバータが一台必要になり、価格の上昇につながってしまう。そこで本研究では、この問題に対し、通常の三相インバータと同じ6つのスイッチングデバイスを用いた1台のインバータで2台の永久磁石同期電動機を独立制御可能な回路方式を新たに提案し研究を行っている。 昨年度までに提案したスイッチ制御法では、中段のパワーデバイスのスイッチング周波数が、上下段のデバイスの2倍になってしまう問題があった。そこで、出力指令値と検出値を比較してスイッチのオンオフ信号を生成する制御法を新たに提案し、シミュレーションにより検討を行った。この制御を行うためには、出力電流を少なくとも4つ検出する必要があるため、この制御を行うためのコントローラを開発した。この実験結果は、採択に内定している国際会議(EPE2009)などで発表する予定である。なお、現時点では提案した電流制御法は、従来のPWM制御法に比べて電流リプルが大きいため、今後より最適な制御法について検討を進める予定である。 その他、提案回路方式ではパワーデバイスの電圧利用率が他の方式に比べてどの程度悪化するのかを理論式及びシミュレーションにより検証した。
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