研究概要 |
低インピーダンス負荷用雷インパルス電圧校正器の開発に先立ち,計画されていた「与えられた雷インパルス電圧波形パラメータを満たす発生回路の素子定数自動決定プログラム」を完成させた。つまり,一般化された,回路に無視できない大きさのインダクタンスを含む発生回路の素子定数を与えると,解析的手法またはシミュレータにより発生波形を求めることが可能である。計算された波形から,非線形方程式を解くことにより,2つの雷インパルス電圧波形パラメータである波頭長,波尾長を抽出することが可能である。今回の研究成果により,いわゆる逆問題である,「与えられた波形パラメータを持つ雷インパルス電圧を発生するように回路の素子定数を決定する」ことが可能となった。このことにより,次年度に計画されている0.84/60,1.2/50,1.56/60impulseを派生する3台の校正器製作に必要な回路素子を,試行錯誤によらず,一意的に決定することが可能となり回路設計・製作の効率が格段に向上することになる。更に,回路構成素子のみならず,発生した電圧を印加された分圧器の低圧部から記録装置に信号を導く,抵抗成分を有する同軸ケーブルのケーブル定数(長さ,抵抗成分,容量成分,インダクタンス成分)の波形パラメータに及ぼす影響を定量的に把握できることを明らかにした。この成果により,本研究で開発・試作が計画されている発生器の波形が分圧器に印加され,さらに記録される状態での波形パラメータを計算によって求めることができるようになった。
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