研究概要 |
超音速ガス流を用いた放電光源用のデブリシールド法を構築し,その有用性を実験的に明らかにすることを目的とし研究を実施した。 平成20年度は,前年度に製作した超音速ガス流システムを真空容器内に装着し,まず安定な超音速ガス流が生成されていることを確認するために,超音速ガスの流れをレーザ誘起蛍光法により観測した。レーザ誘起蛍光法のために,ヘリウムに一定濃度のアセトンを添加し,アセトンからの蛍光を観測した。結果として,大気圧下ではシート状に噴出するヘリウム流の観測に成功したが,真空下ではノズルから噴出直後に流れが拡散してしまい,シート状の流れを観測することができなかった。次に,超音速ノズルに対向した位置に単独の真空排気系を持つディフューザを設置しノズルからヘリウム流を噴出させたときの真空チャンバー内の圧力値の変動を計測した。ディフューザによるヘリウムガスの回収を期待したが,ディフューザの形状によらずノズルから噴出直後にヘリウム流が拡散してしまい,ディフューザの効果を得られなかった。今回用いた真空排気系の排気能力の限界のため必要量のヘリウムを流せなかったことが一因であるので,より排気能力の高い真空ポンプを設置し排気系を再構築する必要がある。 また,本デブリシールドを設置するための放電光源として,固体スズを燃料とするレーザトリガ型放電光源の開発を行い,入射レーザ強度,電極間距離,印加電圧をパラメータとしてEUV光の放射特性を明らかにした。デブリシールド法の改良を急ぎ,放電光源とリンクした実験が急務である。
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