研究概要 |
高調波解析はあまりにも不確定要素が多く,計算値と実測値が単純に一致しないことから検証も困難であるため,高調波解析は現時点で確立されていない。そこで,計算機シミュレーションだけではその複雑な配電系統のモデル化も含め不十分であり,また,実際に運用している配電系統において種々の興味ある実験は不可能であり,実測するだけで再現性の問題などを含め詳細な解析までは困難であった高調波解析の現状を踏まえ,高調波発生源であるインバータを必要とする太陽光発電などの分散型電源や,インバータにより駆動される誘導機,ならびに整流回路を有するテレビ,パソコンなどの負荷,更に,高調波の影響を受ける変圧器などを持つ高調波実験用模擬配電系統実験設備を構築した。今年度も昨年度に引き続き,分散型電源の連系が配電系統内の高調波電圧や高調波電流に及ぼす影響について,分散型電源の出力や力率の違いや,配電系統における連系地点の違いによる実験および解析を行った。また,高調波を発生する負荷として,整流回路を有する非線形負荷実験装置をフリーデザイン模擬配電系統実験設備に接続して実験を行い,これらの高調波発生源の時間や曜日の違いによる静特性の把握を試みた。得られた実験による解析結果は,計算機シミュレーションと比較および評価を行い,得られた研究成果について関係学会で発表を行った。また,配電ネットワーク全体における高調波抑制のための一手法として,配電ネットワークにおけるアクティブフィルタの最適設置決定手法について提案し,解析モデルを用いたシミュレーションにより提案手法の妥当性を検証した論文を発表した。
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