研究概要 |
電動機の電気的損失を高精度で求める三次元有限要素法による電磁界解析と熱伝導解析を統合したハイエンドCAEシステムの構築のために,PWMインバータで駆動した埋込磁石構造回転機をキャリア高調波の影響を考慮して詳細に電磁界解析し,その結果をもとに損失特性ならびに温度分布を求めた。回転機本体のみでなく,周辺部位となるコイルエンドやモータケースを考慮して磁界解析ならびに熱伝導解析を行った。特に,熱伝導解析では,回転機を冷やすために送り込まれるオイルミストで満たされた回転機内の空間と回転機各部位の間の熱のやりとりを熱伝達として取り扱い,詳細な検討を行った。また,オイルミストの温度が回転機全体の温度に及ぼす影響について考察した。 理想的な正弦波電流で駆動される場合をシミュレートした結果と,PWMインバータで駆動された実機の実験によって得られた電流を入力としてシミュレートした結果を比較・検討することにより,PWMインバータで駆動する際に電流に混入するキャリア高調波が電気的損失に及ぼす影響を定量的に明らかにした。 さらに,キャリア高調波を考慮した場合に得られた損失を発熱源とした熱伝導解析を行い,埋込磁石構造回転機内の温度分布を求め,各部の温度を実験値と比較し,解析の妥当性ならびに有用性を明らかにした。特に永久磁石内の温度分布では,中央と表面の温度差を定量的に求め,永久磁石の温度とオイルミストの相関を明らかにした。
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