研究概要 |
電動機のハイエンドCAEシステムの使用において,複雑なデータ入力を必要とするようであれば,その有用性が失われてしまう。回転子が偏芯していたり,回転子にスキューが施されていたりする電動機を解析対象とする場合,電動機の分割図の作成を容易にすべく入力データの合理化が必須となる。 本年度は,ラプラスの方程式を解くことによって回転子の偏芯やスキューが施された電動機の分割図を容易に作成する手法を開発した。これにより,偏芯やスキューといった電動機特有の分割図を作成する際の座標変換の手間を大幅に省くことができ,入力間違いなど人的ミスを防ぐことができる。また,本手法を用いて生成される分割図の節点はなめらかに分布することから,複雑に入り組んだ物体間の空気中の要素の分布をなめらかにすることができ計算精度の向上につながる。 さらに,回転機解析には多大な計算時間が必要になるため,並列計算による解析が望まれている。そこで,PCクラスタ上に三次元有限要素法による電動機のハイエンドCAEシステムを構築をすべく,並列計算機システムを開発し,基礎的検討を行った。本並列計算システムは,分散メモリ型であるため,接続したPCの数に従って解析対象を大型化することができる。また,オーバーラップ要素を設けることによってマトリクス生成時には通信を発生させないように工夫している。本並列計算システムの開発により,解析対象の拡大が期待される。
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