研究概要 |
主要な成果を以下に示す。 [異方性ベクトルヒステリシスモデルの開発]前年度までに開発した等方性ベクトルヒステリシスモデルに異方性を表す行列を乗じることにより異方性を表現する簡潔なベクトルヒステリシスモデルを開発した。回転磁束および楕円回転磁束に対する無方向性電磁鋼板の磁界ベクトルの挙動を精度よく再現できることを示した。 [均質化法による交流ヒステリシスモデル開発]電磁鋼板の厚み方向の磁束密度分布を区分一定近似することにより,交流磁束印加時の磁界ベクトルを算出する簡潔な均質化交流ヒステリシスモデルを開発した。有限要素法に対する開発手法の等価性と優位性を示した。 [マルチスケール磁気特性モデル](1)単純化磁区構造モデルにより得られる磁化特性の詳細な検討を行った。180゜磁壁移動の磁化過程および単磁区状態が現れる条件を解析的に導出し,異方性,減磁界,磁壁エネルギーが磁化特性に及ぼす影響を明らかにした。形状異方性を表現する単純化磁区構造モデルを開発し,不連続なインピーダンス変化を示す磁性薄膜素子の磁化過程を明らかにした。(2)周期境界マイクロ磁気学シミュレーションにより得られる磁化特性の検討を行った。3次元周期磁化構造時の静磁界の収束特性を明らかにした。大域的減磁界係数を定義することにより,線形磁化特性が得られる場合の磁化率,角型ヒステリシス特性が得られる場合のヒステリシス幅を説明できることを示した。
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