医療器材用滅菌器として狭空部滅菌を実現するために、滅菌行程において滅菌器内部の圧力を周期的に変化させる必要がある。滅菌行程は2〜4時間にわたるために、プログラマブル圧力コントロールユニットを作成し、圧力変化の自動化を行った。また、入力部は製品化を想定しタッチパネルを導入した。圧力変化の自動化により、1分間あたりの圧力変化回数が2倍以上に増加した結果、確実な狭空部の滅菌を実現しただけでなく、滅菌時間の短縮が可能となった。 開発中の高周波プラズマ滅菌器では原料ガスとして酸素を用いてきたが、本課題では滅菌特性の把握と滅菌時間の短縮を目的として、強力なヒドロキシラジカルを生成する水蒸気プラズマで滅菌を試みた。バイオロジカルインジケータにより、水蒸気を用いた場合には従前の酸素の場合よりも滅菌時間が2割程度短縮可能であることが分かった。一方で、医療材料であるポリエチレン等の樹脂へのダメージについては、酸素の場合よりも及ぼす影響が大きい。酸素およびヒドロキシラジカルが各種医療材料に与える影響は、現在実験により調査中である。 カテーテル等の長尺物に対しては、交流高電圧電源を用いた新しいプラズマ滅菌法を考案した。水蒸気を原料として用いた場合、内径2mm、長さ50cmのシリコンゴム製チューブの内面を30分程度で滅菌可能であることが分かった。
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