沿面放電の発生時においては、広い波長域の発光が放射されているが、これまで行ってきた面発光の研究においては、主として可視域の発光に焦点を当ててきた。そして、ネオン(Ne)ガス中の面状沿面放電において、エネルギー準位の3Pから3Sへの遷移による580nm〜730nmの波長の赤色発光が得られ、この可視発光のスペクトル強度は沿面放電によって流れる放電電流に関係していることを明らかにした。また、我々のこれまで研究において定量的評価は行っていないが、この可視発光に加えて、沿面放電では紫外光も同時に放射されている。すなわち、本課題は紫外から可視までの広い波長域の光を効率的に発生させ、これらの光を利用し、面発光デバイスとして実用可能なレベルの高輝度を実現すべく検討を行った。 これまで検討してきたネオン(Ne)ガスに加えて、Neガスとキセノン(Xe)ガスの混合ガス誘電体を用いて、沿面放電現象の解析を実施した。通常の気体放電ではNeガスへXeガスをわずかに混合すると、ペニング効果による放電開始電圧の低下が見られる。これに対して、NeガスへのXeガスの混合率による沿面放電開始電圧の測定を行った結果、Xeガスの微量混合域において放電開始電圧の低下は見られないが、Xe混合率5%程度までは沿面放電開始電圧は変化しないことが明らかとなった。また、沿面放電発光の様相についても検討を行い、Xeガスの混合量に増大とともに、沿面放電発光スペクトルはNeガス中における580nm〜730nmの発光から、より広い波長域でスペクトルが得られ、それに対応して赤色から白色に変化した。また、同時に発光強度も強くなり、そのときの沿面放電電流のピーク値も増大指定ことが確認された。今後、得られた結果をもとに、固体誘電体との相互作用等について検討を進め、大きな沿面放電電流、より強い可視発光および紫外発光が得られる条件の探索を行うとともに、発光輝度増強法について検討を行う。
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