ノートパソコンやロボットなどのモバイル機器用電力源として、量産化に適し高出力化が期待できる、ベローズ型ダイレクトメタノール燃料電池(ベローズ型DMFC)を提案した。ベローズ型DMFCは、中央に円形の小孔をあけた6角形または4角形に形成したMEAを複数蛇腹状に繋ぎ合せ、全体をメタノール容器に浸漬して構成するセミアクティブ型のマイクロ燃料電池である。平成21年度は、ベローズ型DMFCの課題である空気供給法の改善に向けて、シミュレーションおよび実験を進めた。 1.シミュレーションでは、半電池の評価モデルを新たに構築し、空気の供給条件に依存した発電特性の評価を行った。空気供給量を反応に必要な酸素分子量の2倍程度とすることで5セル直列のモジュールにおいても1セルと同等の出力密度が得られることが示された。また、この反応に伴いセル温度が25℃程度上昇することが明らかとなった。 2.実験においては、電極の外周が6cm×6cmの4角形のMEAを繋ぎ合せたベローズ型DMFCモジュールを製作し、空気流量に依存した発電特性を測定した。新規考案の空気流路板には8角形の薄膜を用いた。空気流路板を用いることにより、空気流量0.3l/分においても出力密度が5倍に向上し、平面型セルと同等の出力密度が得られた。 以上により、前々年度解決した集電法と共に、空気供給における課題の解決が図られ、ベローズ型組電池実現の目処が得られた。
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