研究課題/領域番号 |
19560306
|
研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
池田 佳隆 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 経営企画部, 研究主席 (40391255)
|
研究分担者 |
花田 磨砂也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究主幹 (40354641)
小林 信一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40008876)
山納 康 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (30323380)
鎌田 正輝 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 博士研究員 (50397288)
|
キーワード | 真空耐電圧 / 沿面放電 / 2次電子 / 脱ガス / 排気 / ベーキング / 脱ガス / 排気 |
研究概要 |
ガラス繊維強化プラスチック(FRP)で代表される有機絶縁材の沿面放電の解明に向けて、FRPの沿面放電特性とともに2次電子放出率との因果関係を調べた。この結果、FRPの沿面放電特性はアルミナセラミックに比べ半分程度であること、FRPの2次電子放出率は1以下となることを明らかとした。さらに、通常のエポキシ樹脂と2次電子放出係数は変わらないものの脱ガス量が1/10である低放出ガスエポキシ樹脂の耐電圧特性について調べた結果、通常のエポキシ樹脂の耐電圧よりも2倍以上高いことを明らにした。この結果受けて、H20年度は、ベーキング効果の絶縁耐力への影響について調べた。長さが10cm,直径4cmの通常のエポキシ樹脂の表面をハロゲンランプで照射し、表面温度を140及び200℃に設定し、十分にエポキシ樹脂からガスを抜いた後に耐電圧特性を測定した。200℃でベーキングした場合、脱ガスに要する時間を大幅に短縮できるものの、高温のためにエポキシ樹脂が変質し、ベーキング後の耐電圧はベーキング前の1/9まで低下した。また140℃でベーキングした場合も、ベーキング後の耐電圧はベーキング前の6割程度であった。その後、ベーキングによる耐電圧劣化の原因について調べた。エポキシ樹脂を取り除き、樹脂を支持している金属電極のみで耐電圧を実施した。ベーキングの金属電極間の耐電圧も同様に劣化した。この結果及び高電圧印加中のガス質量分析から、ベーキングによって樹脂から耐電圧劣化を誘因する活性な炭素が樹脂から金属に付着し耐電圧を劣化したと推察した。この結果から、エポキシ樹脂を用いる場合には、樹脂を支持する金属へのガスの付着を抑制することが肝要であり、樹脂表面から放出したガスを効果的に排気するなどの対策を講じる必要があることが分かった。
|