研究課題/領域番号 |
19560317
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
小田部 荘司 九州工業大学, 情報工学部, 准教授 (30231236)
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研究分担者 |
木内 勝 九州工業大学, 情報工学部, 助教 (90304758)
本橋 輝樹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (00323840)
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キーワード | Bi-2223 / 凝縮エネルギー密度 / ピンニング / 異方性 / ドープ |
研究概要 |
高温超伝導体の臨界電流密度や不可逆磁界などの電磁気特性は、基本的にピンニングといった欠陥の要因以外に基礎的な超伝導特性にも左右される。したがって、イオン照射による円柱状欠陥のような既知のピンについてのピンニング特性を調べることにより、超伝導体の基礎特性を明らかにすることができる。本研究ではBi-2223酸化物超伝導体において重イオン照射をおこない、円柱状欠陥を人工的に生成し、このピンニング特性を解析することより、凝縮エネルギー密度を評価した。その際に、酸素アニールの異なる試料を準備して、この効果を検討した。 酸素アニールはas grown(#0)と1気圧(#1)のものに加えて3気圧(#3)、10気圧(#4)と条件を分けて、試料を作成した。臨界電流密度は重イオン照射後に特に#1において改善が著しいことが分かった。一方で#3では変わらず、#4では逆に特性が悪くなった。これは酸素アニールにより臨界温度などの超伝導基礎特性が劣化してしまったためだと考えられる。不可逆磁界は照射前では#1で改善がみられ、照射後ではアニールの影響はほとんど見られなかった。これは照射後では全体に不可逆磁界が改善されているためである。さらに凝縮エネルギー密度を評価すると#1が一番高い結果となった。したがって、これまでの研究から1気圧の酸素アニールが適切であるということが分かった。また凝縮エネルギー密度の大きさはY-123超伝導体とも同じ程度であり、潜在能力は高いものであると言える。
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