研究概要 |
[1]電界効果MOCVDを可能とする装置の作成: ナイトライド半導体の結晶構造の分極反転を制御するには、作成時と降温時に高電界を印加して分極方向を揃える必要がある。今回の助成を得て、本装置を改造し、結晶成長方向に1kV/cmの高電界を印加する機構を作成した。我々の装置は横型であり、MOCVD装置に適合した石英製インナー管を作成し、基板上部3ミリの位置に上部Mo電極を設置し、Moサセプタをヒーターと絶縁することで、下部電極とした。基板は焼結体BNの抵抗加熱によりMoサセプタを介して最大1150℃に加熱することが可能となった。 [2]重界効果の検証: 分極反転に伴う結晶構造の変化を検証するため、Sic上にAINを電界効果MOCVDでヘテロエピ成長させ、そのMIS構造の誘電率を測定した。AINは大きなピエゾ係数を持っているので、1軸性圧力と静水圧下でのピエゾ係数の比較を行った。AINの作成には20トール程度の減圧下で成長させるが、電界を印加するとプラズマが発生し、正確な電界効果MOCVDとはならなかった。したがって、誘電率、ピエゾ係数ともに、明確な電界効果を見ることは出来なかった。 [3]電界効果MOCVDによる半導体InNの作成: InNの分極方向を一方向に揃えるためc-軸方向に電界を印加して500トールにて結晶成長を行なった。プラズマは発生しなかった。評価はX線回折や、光学測定、超伝導特性、TEM,ラマン散乱の評価で実施した。この成果の一部を2008年春の応用物理学会で報告した。
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