下記2項目を重点に、研究を進めた。 (1)クリスタルコンタクトエピタクシー法による薄膜方位制御クリスタルコンタクトエピタクシー法による薄膜形成技術については、汎用性の高いシリカ上の薄膜において光学薄膜および圧電性薄膜の結晶方位の制御を目標としている。シリカ基板に形成したセリウム置換YIG(Ce:YIG)薄膜において(100)および(111)の結晶方位の結晶成長を確認した。またニオブ酸リチウム(LN)薄膜についても、C軸配向と単結晶に比較して最大80%の圧電性を確認した。C軸以外の結晶方位でも方位制御の可能性が明らかになった。しかし再現性が低く、熱処理の温度分布が主な原因であることが分かり、改善策の検討をすすめている。 (2)シリカ系超構造薄膜シリカ超構造では、紫外光励起による可視光のルミネセンスについて、400〜600nmの範囲での発光スペクトルを観測しているが、励起スペクトルについて検討の結果、励起波長のピークはほぼ250nm付近にあることを明らかにした。この波長の紫外光は容易に得られるので、実用を目指す上でも有意義である。されに、石英基板およびシリコン基板に形成した超構造薄膜で、誘導放出による光の増大(3-5dB/cm)を、再現性を含めて確認した。光増幅の可能性を明らかにすべく光吸収・伝搬損失について調査・検討をすすめている。超構造薄膜では、分極処理により圧電性発現するが、圧電d定数としてxカット水晶と同程度の値が再現性よく得られるようになった。しかし、十分な安定性を得るには至っておらず、解決策を検討する必要がある。
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