研究概要 |
1.TiNi系形状記憶合金薄膜の組成制御プロセスの確立 スパッタリング成膜を行う場合,成膜速度をパラメータとして成膜条件を決定することが多いが,組成制御を行う場合には成膜速度だけでは不十分であることが今回明らかとなった.スパッタ率の異なる複数の金属を同時にスパッタ成膜する場合は,組成はスパッタ率で決まることを見出した.スパッタ率をその場計測することは困難であるため,膜厚モニターで計測した成膜速度からスパッタ率に換算する手法を考案してこれを解決した.この手法でTiNi系合金薄膜を形成したところ,目的とする組成に対してlat.%以下のばらつきで膜形成が可能となった.基板条件(基板温度)が変わると組成も変化することを確認したが,本手法を用いて補正が可能であることを確認した.従って,スパッタ率を成膜プロセスにフィードバックすることで高精度な組成制御が可能であることが明らかとなった.また,組成比の異なるTiNi系合金薄膜を作製し,その動作特性(温度-変位特性)を確認したところ,組成比の違いによって異なる特性が得られた. 2.TiNi系合金薄膜デバイス(カンチレバー)の作製と評価技術の開発 デバイスはTiNi合金と線膨張係数の近いA1箔上に薄膜を形成して評価した,温度-変位特性の評価はカンチレバーを側面から観察し,動画あるいは各温度における画像を解析する般的な手法で行った.より定量的な温度-変位特性の評価を行うためにはカンチレバーの形状を最適化する必要があることを明らかにした.
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