研究概要 |
本研究では、三元化合物からの連続成膜法を用いて次世代CIGS系薄膜太陽電池を作製することを目的として実施する。単接合型や多接合型太陽電池への応用を実現するためには、色々なバンドギャップを有する薄膜材料が必要であり、本研究で取り扱うCIGS系薄膜はGa量やS量を調整することで実現可能である。太陽電池グレードのCIGS系薄膜を作製するため、適度なGa量やS量を含むCIGS系薄膜の連続成膜法における成膜条件を検討するとともに、太陽電池を作製し、その性能との関係を明確にする。3年計画の2年目は以下の知見を得た。 (1)高いGa含有率を持つCu(In,Ga)Se_2薄膜と太陽電池の作製 CuGaSe_2+CuInSe_2/In_2Se_3/Seからの連続蒸着法を用いて高いGa含有率を持つCu(In,Ga)Se_2薄膜と太陽電池を作製した。この際、1段目のプリカーサ形成時のCuGaSe_2/(CuInSe_2+CuGaSe_2)供給量比を0.8一定として、In_2Se_3供給量やプリカーサ形成温度などを変化させた。その結果、In_2Se_3を供給することにより、単層のCu(In,Ga)Se_2薄膜を作製でき、同薄膜を用いた太陽電池で変換効率6.95%を得た。 (2)表面硫化処理によるCu(In,Ga)(S,Se)_2薄膜と太陽電池の作製 連続成膜法により作製したCu(In,Ga)Se_2薄膜の表面を硫化処理するプロセスを用いてCu(In,Ga)(S,Se)_2薄膜を作製した。その結果、S量の増加とともに、太陽電池の開放電圧の顕著な向上が見られた。 (3)連続成膜法によるCu(In,Ga)Se_2薄膜へのNa添加効果の検討 連続成膜法における1段目のプリカーサ形成時のCuGaSe_2/(CuInSe_2+CuGaSe_2)供給量比を0.4一定として、Na_2Se添加量を変化させてCu(In,Ga)Se_2薄膜を作製した。その結果、微量のNa_2Se添加により、開放電圧や曲線因子の改善が見られた。 上記の研究による成果を国際会議や国内学会等で発表した。
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