研究課題
本研究では導波管内の遮断周波数以下の電磁波で発生するエバネセント波を用いて、深さ方向制御が可能な微細加熱技術の開発を目指した。加熱資料の溶融に必要な高周波磁界強度は直径0.5mmの無鉛ハンダで330[A/m]程度以上であるが、低電力の発振器を用いる場合、この磁界強度を得るためには電力を蓄積させる高Qのマイクロ波共振器が必要となる。本研究では、1年目に広帯域固体増幅器と外部整合器(ダブルスラグチューナー)を購入すると同時に、簡易な構造で微小な部分に強磁界が集中するマイクロ波共振器を開発し、エバネセント波によりハンダの溶融に成功した。2年目は共振器本体内部に設置した新しい内部整合器の設計製作を行い、加熱効率の向上と低コスト化を実現した。また、共振器のサンプル挿入口の加熱部分の銅板に絞りを入れ、目的対象物である実際の携帯電話のカメラ用シャッター部品のハンダ付けを行った。3年目は、安定した整合と損失低減のため共振器の内部整合器をアルミから銅製に変え、接触抵抗を減らす為に燐セイ銅の接触子を挟み込む構造とし、深さ方向制御された加熱技術で微細な直径0.7mmのリング状ハンダを溶融する事に成功した。また、従来問題であったコイルのヨーク部の加熱に関しては、ヒステリシス損失が加熱効果を増加させないよう銅メッキによる対策を行った。また共振器の設計を目的として昨年開発した3次元FDTD法による電磁界解析コードのバグを修正し、実験で確認された反射損失の周波数特性をシミュレーションで再現する事に成功した。これらの結果をまとめ、国内学会で3件、国際会議にて2件論文を発表した。また4月には電気学会に査読付論文を投稿予定である。
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Proceedings of the 12th international conference on microwave and high frequency heating(AMPERE 2009), Forschungszentrum Karlsruhe, Germany
ページ: 271-274
The 5th International Student Conference at Ibaraki University, Ibaraki, JAPAN, November 7-8, 2009
ページ: 69-70
http://info.ibaraki.ac.jp/scripts/websearch/index.htm