研究課題
本研究では、電子をナノ構造制御する手法を拡張し、また、新規な物理現象を探索するために、単一の自己組織化InAs量子ドットに対して、その上から直接ナノギャップを有する極微細電極を形成して、単一電子トランジスタ構造を作製し、電極構造やクーロン、電子スピン相互作用、テラヘルツ電磁波などを用いて、系の電子状態が多彩に制御できることを実証し、新しい素子への応用を探索することを目的としている。平成19年度には、以下の3点について研究を遂行した。1、自己組織化InAs量子ドットを用いた単一電子トランジスタの形成法の高度化と確立、基礎物性の解明(1)自己組織化InAs量子ドットの形成位置を制御する手法を確立し、それによってこれまで1%程度であった試料作製の歩留まりを40%程度まで引き上げることに成功した。(2)量子ドット形状や、電極と量子ドット間の相互作用の違いによる電気伝導の振る舞いを詳細に調べ、パラメータを最適化することで、この系で観測されるスピン相関現象である近藤効果が80K以上の温度まで観測されることを示した。2、超伝導体・強磁性体電極を用いた単一量子ドット素子の作製(1)極微細電極の材料として、アルミニウムを用いた超伝導体・量子ドット接合を作製し、超伝導と近藤効果の競合現象を観測した。超伝導と近藤効果の強さに関係した新しい近藤universalityを発見した。(2)極微細電極の材料として、Niなどの強磁性体を用いた試料を作製し、強磁性・量子ドット接合の作製に成功した。この系がスピンバルブトランジスタとして動作することを示した。3、単一量子ドットのテラヘルツ伝導ダイナミクスの解明のための進備テラヘルツ電磁波によってドット中のサブバンド間遷移を誘起し、電子とLOフォノンとの相互作用によるフオノンラビ振動を観測するために擬似自己相関テラヘルツ分光系の立ち上げを行った。この系で4THz程度までのテラヘルツ電磁波を試料に照射することが可能となった。
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