研究課題
本研究では、電子をナノ構造制御する手法を拡張し、また、新規な物理現象を探索するために、単一の自己形成InAs量子ドットに対して、その上から直接ナノギャップを有する極微細電極を形成して、単一電子トランジスタ構造を作製し、電極構造やクーロン、電子スピン相互作用、テラヘルツ電磁波などを用いて、系の電子状態が多彩に制御できることを実証し、新しい素子への応用を探索することを目的としている。平成21年度には、以下の3点について研究を遂行した。1、自己形成InAs量子ドットを用いた単電子トランジスタの形成法の高度化と確立、基礎物性の解明予め微細加工を施した基板に対して分子線エピタキシー法による結晶成長を行うこどにより、直径が100nm以下の高品質な量子ドット配列を再現性良く形成する手法を確立した。また、InAs量子ナノ構造の構造制御にも取り組み、新たに(211)B GaAs基板の上にInAsを堆積することにより、面内に非対称な構造を有する量子ダッシュ構造を形成することに成功し、その特徴的な形状を反映した伝導特性を観測することに成功した。2、超伝導体電極を用いた単一量子ドット素子の作製超伝導体・量子ドット・常磁性金属接合を形成し、量子ドットにおけるアンドレーエフ束縛状態の観測を行った。この結果、系の各種パラメーターの変化に伴い、基底電子状態が変化することを明らかにした。3、単一量子ドット素子の光照射下でのキャリアダイナミクスの解明光照射下での素子の安定性に関する知見を得るため、可視光照射下での素子の伝導特性の変化を観測した。その結果、伝道に寄与しない周囲の量子ドットにおける電子数変化が、素子の伝導特性に大きな影響を及ぼすことを明らかにし、同時に、ゲート電圧の調整によってその影響を制御可能なことを示した。
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Physica E ((印刷中)掲載確定)
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