研究概要 |
本研究は,新規構造の近接場光発生器と検出器の創出とそれら構造の最適化並びに近接場光を介した光の強度及び周波数変調信号の伝達技術の開発を目的としている。そのために,伝播光を近接場光へ変換する装置として,直径が0.4から1.0μmの微小石英球と銀ナノペーストの混合膜を提案した。 平成19年度は本混合膜を半導体レーザの光出射面へ塗布、焼結し(焼結されて微小誘電体が銀に埋め込まれた構造になる),混合膜厚及び石英微小球と銀ナノペーストの混合比と膜の出射側に発生する近接場光の発生強度及び発生頻度,さらに膜の出射面上での近接場光発生領域の広がりの程度の相関を明らかにした。本結果より,近接場光発生器に最適な膜厚及び銀ペーストと石英球の混合条件を求めることができた。近接場光検出器についてはシリコン基板上に混合膜を作製し,混合膜とシリコン界面に形成されるショットキー接合により本界面に発生する近接場光を検出する構造を提案した。本素子に外部からレーザ光を照射し,検出された光電流が最大になる石英微小球と銀ナノペーストの混合比及び焼結条件を求めた。 これらの最適構造の混合膜が作製された近接場光発生器の半導体レーザ部分に変調電流を印加し,混合膜へ光強度変調されたレーザ光を入射することにより,近接場光も同様に強度変調されることを実験的に求め,近接場光を介して光強度変調信号が伝達されることを明らかにした。さらに,半導体レーザに変調信号を印加することにより周波数変調されたレーザ光を混合膜へ入射し,膜の出射側に発生する近接場光に対して光ヘテロダイン検波を行い,変調電流振幅に対する発振波長の変位(FM変調効率)を求めることができた。
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