コンピュータメモリにディジタルデータとして蓄積されるディジタルホログラムを、一つの物体について複数枚蓄積し、合成開口処理を応用した信号処理を行うことで、高解像で物体像の再生を行うことを目的として研究を行った。 まず合成開口処理を行うソフトウエアを作成した。ホログラムデータにフレネル変換を施し、得られた複素数データを記録するソフトウエアと別々のホログラムデータから得た計算結果に、観測位置の違いを付加するソフトウエア、そして、それぞれを足しあわせて合成開口処理を行うソフトウエアを作成した。作成したソフトウエアは、一枚のホログラムデータを2枚のデータに分離して作成したホログラムデータにより、合成開口処理を行い、その動作特性を解析し、その正当性を確認できた。 観測位置が異なっているホログラムデータの位置関係をピクセル単位で正確に求めるために、ホログラム間で、相互相関演算を行い、相関値最大値か得られる場所から、相対位置が求められることを確認した。ホログラムデータにフーリエ変換を施すことで高速に相互相関関数が得られるソフトウエアも作成した。 物体光と参照光の干渉強度分布をCMOSイメージセンサで撮影する際に、撮影位置を左右上下に設定量だけ移動できるように、移動ステージにCMOSイメージセンサを設置した。一つの物体に対して、撮影位置を変えて5枚のホログラムデータをコンピュータに蓄積した。得た観測データを合成開口処理を施し、解像度が向上していることを定性的に確認した。 観測位置の異なる複数枚のディジタルホログラムを合成開口処理するこてとで、解像度が向上することが確認できたが、定量的な解析がまだ行えていない。さらに、光学系を導入して微細構造からの散乱光のホログラムデータから高解像再生を試みたい。
|