研究概要 |
従来の写真乾板を用いたホログラフィーに代わって、近年注目されているディジタルホログラフィに関する研究を行った,ディジタルホログラフィでは,CCD等のイメージセンサーを用いて、ホログラムの光強度分布を測定し,電子ファイルとしてコンピュータに蓄積する.従来の写真乾板で構成するホログラムでは現像、定着過程を化学処理で行う必要があったことに比べ,イメージセンサーで観測したディジタルデータのホログラムは、厄介な処理が必要ないので広く応用が期待されている.しかし一方、写真乾板に比べてセンサーの大きさが小さいため,ディジタルホログラムからの再生像の解像度が低下する欠点があつた.そこで本研究では,一つのシーンに付いて複数枚のホログラムを,異なった観測位置から観測し,個々のホログラムについて合成開口処理することで,開口の大きなイメージセンサーで、ホログラムを観測した状態を擬似的に実現することを目的に研究を行った. 合成開口処理において重要となるのは,ホログラム観測を行った観測位置間の関係を、イメージセンサの画素サイズと同等の精度で求めることであった.本研究では,ホログラム中で一部分が,もう一つのホログラムと同じ場所が含まれるように,ホログラム観測を行い.二つのホログラム強度分布の相互相関関数を計算することでその位置関係を求めた.評価した結果,ほぼ1画素,6.4μmの精度で,ホログラム間の位置関係を求めることができた。 測定したホログラムについて,位置関係を加味して合成開口処理を行った.二枚一組で合成開口処理を行い,良好な結果を得た.相関関数で求めた位置関係と異なる位置関係として合成開口処理すると,再生像全体に,干渉縞が発生した。これは二枚のホログラムをコヒーレントに合成開口処理できている証拠であると考えた. 解像度がどの程度改善したかを定量的に測定している.現状では,1.2倍ほどの改善であろうと評価している.今後検討を進めたい
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