研究概要 |
時間領域手法の利点を活かし,金属媒質を含む光デバイスの周波数応答を,パルス波を用いて一度の計算で評価するアルゴリズムを確立した。従来のFDTD法が陽解法であったのに対して,本研究では,陰解法に基づく手法を考案した。具体的には,局所一次元法を適用することで,刻み幅に関して無条件安定のアルゴリズムを構築した。その結果,計算効率の高い手法(従来に比べて半分以下の計算時間)を確立した。加えて,金属の屈折率変化に関しては,可視領域から遠赤外領域まで対応できるように改良した。これらの成果は,米国電気電子学会の速報誌での採録が決定している。 偏波回転器に関しては,三角形導波路の理論的検討が終了し,短軸長での動作を確認した。マイクロ波帯での実験的検討を進めており,短軸長での動作を確認しつつある。研究成果を米国光学会主催の国際会議で発表した。現在,米国電気電子学会の論文誌にフルペーパとして投稿中である。三角形導波路のより簡便な構造,ならびに偏波分割器との組み合わせを可能にする構造に関して,検討を継続している。 クレッチマン構造を応用した小型な導波路型光バイオセンサの基礎検討が終了し,成果を米国電気電子学会,米国光学会の共同論文誌で発表した。まず,計算効率のよいビーム伝搬法(BPM)をセンサ構造の解析に適するように,複素パデ近似を用いる広角式を導出した。また,FDTD法との比較から,計算結果の妥当性を検討した。開発された手法を用いて,測定物として水を例に取り,導波路構造を利用しても,従来のクレッチマン構造と同様な感度で計測できることを数値的に実証した。
|