金属を含む周波数分散性媒質を取り扱う時間領域解析法に関しては、局所的1次元有限差分時間領域(LOD-FDTD)法において申請者らが開発してきた、5種類の手法(RC(Recursive Convolution)法、線形近似を用いたRC法、台形則に基づくRC法、補助微分方程式を援用する手法、Z変換を援用する手法)の比較を行い、手法の特徴を統一的に明らかにした。また、プラズモンを利用した微小空洞を含む導波路の解析にLOD-FDTD法を利用し、波長フィルタ特性を検討する際の有効性を明らかにした。加えて、LOD-FDTD法を周期構造にも対応できるように拡張し、電磁波が周期構造に対して、垂直に入射する場合の定式化に成功した。これらの成果は米国電気電子学会の論文誌、米国光学会の国際会議で発表した。 偏波回転器に関しては、正方形導波路断面の一部を直角に切り落とした簡易な構造でも、昨年度までに検討してきた斜めに切り落とした構造と遜色のない特性が得られることを見出した。新たにL字型構造と名づけた。この成果を特許申請した。ビーム伝搬法の安定性、パワー保存性の改良に関しては、伝搬軸方向の界成分を考慮する手法を考案し、米国電気電子学会・米国光学会の共同誌で発表した。また、金属を装荷した導波路型偏光子を安定に解析する手法を確立し、具体的な設計例を電子情報通信学会論文誌で発表した。なお、偏光子の特定の偏波を消去する作用を逆にする方法も考案し、2010年の米国光学会の国際会議で発表する予定である。
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