研究課題
有機EL素子は自発光で視野角依存性がないといった特徴だけでなく、近年では陽極、陰極ともに透明な電極で有機膜を挟みこんだ、透明有機EL素子(TOLED)の検討も行われるようになっている。これらの素子は非発光時にはガラスのように透明であるといった特徴に加え、陰極から光を取り出し、陽極側に置かれた配線やTFTによる開口率の減少の問題を解消できるトップエミッション素子や、表/裏両面からの発光を取り出し、表示素子としたデュアルエミッション素子、ならびに透明有機ELを積層させ、高効率、長寿命が実現できるマルチフォトンエミッション素子の基盤技術になっている。この高効率化技術は燐光材料等の開発と相まって、ディスプレイ領域の分野に留まらず、今では、照明の分野にも期待が寄せられている。本共同研究は透明有機EL素子を作製するにあたって重要と思われる、透明導電膜の導電性や透過率の特性、有機膜上へのダメージの検討、EL素子の特性、電流注入性に関して、それぞれ評価検討を行なった。申請者らは、有機膜上への透明導電膜の作製法として、スズ添加インジウム酸化膜(ITO)を作製するスパッタプロセス中に、電子注入性の向上を目的として、アルカリ金属であるセシウム(Cs)を加える新規な技術を提案し、その透明導電膜であるセシウム添加ITO膜(ITO:Cs)の有効性を示した。通常、アルカリ金属は活性であり、大気中で不安定であるが、ITO:Csは透明性、導電性を損なうことなく、仕事関数の値を低下させ、電子注入性の向上を図ることができた。さらに、このITO:Cs膜を陰極に用いた透明有機EL素子の特性を示した。
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