研究課題
透明導電膜(透明導電性酸化膜:TCOs)はこれまで、主に透明性(可視光透過率)と導電性の向上に対して研究が注力され発展している。最近になって、有機エレクトロルミネッセント(EL)素子や有機太陽電池などの発展に伴い、光取り出しまたは光入射に用いる電極としてキャリア注入の観点から、このTOOsの仕事関数の制御が重要視されている。TCOsの仕事関数は通常、5eV付近の値を有するため、ホールを注入する電極に適している。一方、最近は、トップエミッション方式有機EL素子に代表されるように、陰極側にこのTCOsを用いる検討がなされている。この場合、仕事関数の小さい(4eV以下)透明電極の開発が望まれているが、現在そのような材料で一般的なものは存在しないため、バッファ層などの挿入電極によって、この問題を回避してきた。以上の背景において、申請者らは電極自体の仕事関数の低減、すなわち電子注入性が向上する可能性がある、アルカリ金属添加スズ添加インジウム酸化膜(ITO膜)の作製に関して主に検討を行った。具体的には、ITOを作製するスパッタプロセス中に、セシウム(Cs)蒸気を導入し、Cs添加ITO膜を作製し、評価した。この結果、大気中においても、4eV程度の低仕事関数を有していることを確認した。また、膜中のCsの分布の測定を行い、Csは膜の表面に多いが、膜中にも含有していることを示した。さらに、この電極を透明有機EL素子の陰極に用いることで、発光効率が向上することを示した。この結果はキャリア注入型光機能電子デバイスに用いる光取り出し・導入電極技術において有効な知見と位置づけられる。
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