研究概要 |
本研究の目的は, UWB無線システムに適したRFコンポーネント実現のための基本技術を開発・提供することにより, UWB無線システムの実用化・飛躍的発展に資するところにある. 本年度は, 準ミリ波帯超広帯域平面アンテナ構成法, マイクロ波増幅器の高効率化基本技術ならびに超高性能小型フィルタの基本技術に関する検討を行い, 以下の成果を得た. ・マイクロ波帯UWB無線用超広帯域平面アンテナのための小型放射素子として, 高誘電率基板上の葉状ボウタイ素子を開発した. FCC認可のUWB通信用周波数(3. 1〜10. 6GHz)において一様なアンテナ特性を実現するための設計法を明らかにした. また, UWB無線と無線LANとの相互干渉が懸念される5GHz帯を阻止帯域とすることが可能な, 高誘電率基板上の葉状ボウタイ素子を開発した. ・準ミリ波帯(22〜29GHz)を動作周波数とする超広帯域平面アンテナの構成法を開発した. 準ミリ波帯におけるリモートセンシングに適した指向性を得るために, 平面アレー構造を導入した. 放射素子として菱形ボウタイ素子を, 給電線路としてマイクロストリップ線路を採用した場合につき, 22〜29GHzにわたる整合の実現と放射指向性の安定化を図ることが可能な給電回路および放射素子配置法の設計手順を明らかにした. ・分割オープンリング共振器を用いたリアクション型フィルタを用いた, マイクロ波電力増幅器の隣接帯域ひずみ抑圧法を開発した. リアクション型フィルタおよびマイクロ波電力増幅器の特性を広帯域拡散無線通信信号に適用した際の数値解析および測定を行うことにより, リアクション型フィルタが広帯域拡散無線通信信号の隣接帯域ひずみ抑圧に有効であることを明らかにした. さらに, リアクション型フィルタがマイクロ波電力増幅器の高効率化に有効であることを見いだした. 以上, 本年度において予定していた研究課題について十分な成果が得られた.
|