研究概要 |
マルチホップ無線網においては,中継ノード群の密度,振る舞いの影響により,連結度が低くなることがある.そのため,始点Sから終点Dの間にマルチホップ経路が現れるまでの時間が極端に長くなる場合がある.本研究では,このようなマルチホップ無線網の本質的な大きな問題を改善するために,連結度が低い場合には移動体流の情報運搬能力を最大限に利用し,マルチホップ無線伝送とエピデミック伝送を併用したハイブリッドデータ伝送手法を用いることを考える.マルチホップ無線伝送,エピデミックルーチングの情報伝達時間の特性を,理論解析とシミュレーションにより明らかにしながら,ハイブリッドデータ伝送手法の開発を行うことを目的とし,様々な状況を想定して研究を行った.また,情報伝達時間以外の通信品質を考慮した評価指標について考え,通信品質を考慮したマルチホップ伝送の研究を行うことも目的として研究を実施した.平成21年度は主に以下の成果を得た. 1.前年度に得られた成果を拡張し,2次元ネットワークにおけるエピデミック伝送,ハイブリッド伝送の情報伝達時間の理論解析手法を開発し,その有効性を示した. 2.上記の解析手法を用いて,シャドウイングの程度,交通流の違い等による情報伝達時間への影響を明らかにしながら,ハイブリッド伝送の性質を明らかにした. 3.ハイブリッド型データ伝送手法の開発,評価を行い,送信間隔や送信回数を最適化するための手法を示した. 4.情報伝達時間以外の評価指標を用いて,通信品質を考慮したマルチホップ伝送の通信品質の評価手法を示した. 5.研究のまとめを行った.
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