研究概要 |
本研究は,周波数領域MIMO(Multiple Input/Multiple Output)であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送方式に空間領域MIMOを導入した二次元MIMO無線通信システムにおいて,送受アレーアンテナの周波数特性も含めたビームフォーミングを適応的かつ効率的に行う技術について研究開発するものである。以下に本年度の成果を示す。 1.2〜5GHz帯モノポールアンテナから成る2〜8素子リニアアレーアンテナを製作した。 2.アンテナ出力(受信信号)をディジタル化し,処理するために,A/D変換できる周波数帯までダウンコンバートする周波数変換器を製作した。ダウンコンバートするためのローカル信号用に信号発生器(ローデシュワルツ・SMA-B106)を用いた。これとA/D変換器およびコンピュータとで受信機を構成している。 3.OFDM伝送用のアダプティブアルゴリズムについて検討を行った。その結果,従来のアルゴリズムの収束特性を改善するアルゴリズムの開発に成功した。また,多重波の到来方向推定を行うために,EM(Expectation-Maximization)およびSAGE(Space Alternating General ized EM)アルゴリズムを利用することを検討した。いくつかの改良アルゴリズムを提案し,それらの特性比較を行った結果,良好に推定を行うための重要な知見を得ることが出来た。今後は,多層型MIMO-OFDM用アルゴリズムへと発展させていく。 4.パーソナルコンピュータ上での計算機シミュレーション,および電波暗室内での電波到来方向推定の簡易実験を行った。その結果,提案手法が十分な推定精度と分解能を持つことを確認できた。
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