研究概要 |
最終年度の平成21年度は、完成形の提案方式確立とその多面的評価を試みて所期の成果を得た。 光パケット交換機のロス性能を改善する波長変換器・光バッファ連携制御の確立に関して、Look-aheadバッファとLoop-backバッファの連携制御を組み込んだTwo-stage可変長光パケットスイッチの詳細設計をさらに遂行し、計算機シミュレーションを通じて、特に中低負荷域では、3ケタ以上のロス率改善効果が見込めることを明らかにした。また、これらの制御方式の実現可能性に関して、ハードウェア仕様記述言語を用いた簡易版のハードウェア実装を行い、制御処理に要する時間制約を定量的に検討した。その結果、既存の方式と同等の速度(評価環境では45nsecに1パケット処理)で動作可能であることが確認された。 光パケット交換網に適したコネクションレベル優先波長選択方式の詳細化に関して、連携研究者とともにご過去の履歴情報に基づく学習によりSI指標を逐次更新する制御機構として、ブロックACK型フィードバックとの組み合わせによる優先波長決定方式、さらには、交換機内部における波長変換器、ファイバ遅延線(FDL)の優先利用規律に関してもSIベースの指標に基づき優先利用方針を確定するSIC,SIFを提案し最終的な提案方式を確立した。さらに、よ様々なネットワーク環境下での評価を通じて本提案方式の有効性を明らかにした。 優先波長集合(優先波長バンドル)のグローバルな決定方法の確立に関して、優先波長・経路をグローバルなネットワーク状況把握に基づき決定するスケーラブルな制御方式として、ORGAN (Online Route and Wavelength Design based on Genetic Algorithm for OPS Networks)のさらなる詳細設計を行い、その有効性を定量的に明らかにした。特にFDLとの併用により、4桁程度のロス率改善効果が得られる負荷領域が存在することを実証した。
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