研究概要 |
初年度の成果を受け,区分非線形特性の記述ファイルの検討を行った.様々な表現方法を試みたが,プログラミヒグ言語のif文を記述する以上の柔軟性のある記述方法の決定までにはいたらなかった.ただし,区分に応じて考慮すべき場合を網羅し,自動的に解析プログラミに組み入れる機能は実現した.また,区分非線形系の例題として,高次元自律系でスイッチを持つ場合,スイッチの特性が区分線形特性となっている系,区分非線形になっている場合のそれぞれの二次元自律系,状態に依存して軌道にジャンプの生じる二次元力学系についてそれぞれ周期解の分岐問題について計算を行った.第一第二変分方程式の数値求積解とその組合せによるヤコビ行列の効率よい構成が可能となった.変分方程式は通常区分の増加とそれに伴うリミットサイクルの性質と相まって爆発的に補助変数が増え,扱いが困難となる.そこで数値微分も一部用いてヤコビ行列の計算の手間を削減し,上記例題ではプログラミングの手間を削減し,計算速度も向上させることができている.最終的に解析プログラムのライブラリ化を行い,数値シミュレータのGUI等も検討しながら,解析パッケージを完成させた.この取り組みに対応する論文をElsevierの雑誌に発表した.この研究課題を通して,区分非線形力学系の設計論,創生論を検討する必要が生じて来た.そこで,解析システムを用い,試行錯誤により有為な力学系の創発が可能となったと考えられる.
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