本研究では、複数のチップ幅で構成する新しい方式の相補符号系列の応用について検討している。相補符号系列は、一組の符号系列から構成され、各々の符号系列の自己相関関数を求め、それらを足し合わせると時間シフトがゼロ以外においてゼロ値となる、すなわちサイドローブがゼロになるという符号系列である。複数のチップで構成する相補符号系列はメインローブの構成が従来のものと異なり、このような符号系列は数多く見つかっている。これまでにレーダへの応用において、この符号系列の有効性が明らかになった。本研究では、この符号系列の移動体通信、情報セキュリティ等へ応用し、その有効性を検討することを目的とする。 平成20年度は、複数のチップ幅に圧縮する相補符号系列のOFDM通信への応用について検討を行った。平成19年度に構築したシミュレーションモデルを用いて、提案方式の相補符号系列をOFDMに適用した場合のシミュレーションを実施した。その結果、提案方式の相補符号系列には従来方式の相補符号系列と比較して、PAPRを低減できるものが存在することが分かった。また、提案方式により生成した送信信号には振幅変動の小さなものが含まれていることが分かった。
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