研究概要 |
1.20年度にて「垂直磁気記録チャネルの通信路シミュレーションモデルの構築」および「反復復号器(iterative detector)との協調動作確認」をさらに,精密に検証した. 2.誤り率10^<-3>台の垂直磁気記録された信号をBCJRアルゴリズムにより尤度比に変換し,パターンごとに信頼度分布を調べた.これにより,分布がパターンごとに異なることを明らかにした.特に磁化反転の回数の多いパターンの分散が大きくなる傾向にあることを示した. 3.これらのパターンを弁別する曲面をRBF (Radial Basis Kernel)カーネルを用いるサポートベクターマシンにより生成することが可能なこと示した.特に視覚化を容易にするために,信号をパターンごとに尤度比を軸とする三次元空間上(x, y, z)に図示することを試みた. 4.そのため超平面を生成する際に用いるトレーニングデータを以下の基準の下で取得することが適切であることを示した.(a)用いるパターンは各パターンの平均からの距離が標準偏差の1.2倍より大きいもの.(b)(x, y, z)の値が0より大きいまたは小さいもの.パターンが000なら(x, y, z)ともに0より大きいものを,010なら(x, z)は0より大きいもの,(y)は0より小さいものを用いる. 5.つぎに,尤度比の空間において,超平面からの距離を基準にこれらの尤度比を再スケーリングする.この新尤度比を用いると,誤りと正しいデータの分離が従来の尤度比を用いる方法より良い結果を示すことが分かった.実際に,射影幾何で構成されたLDPC符号(符号長さ5797ビット,コードレート0.95)において,通常の尤度比のデータを復号すると,訂正不能になる場合が発生する.一方,上記再スケーリングきれたデータを用いると,完全に復号できることを確認した.
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