研究概要 |
本研究は,階調画像と2値画像の可逆・準可逆画像符号化と情報埋め込みを研究対象とし,符号化効率(圧縮率と処理時間)の向上をさらに目指し,圧縮率と画質劣化に影響の少ない情報の埋め込み方式を実現することを目的としている.研究期間内に実現あるいは明らかにしたい課題のうち,初年度にあたる本年度は,(1)誤差拡散ディザ画像への情報埋め込みとブロック符号化の統合化,(2)JPEG-LS可逆符号化への情報埋め込み方式の考察,(3)JPEG-LS拡張版で規定されている2値算術符号器の学習ソフトの開発,(4)その2値算術符号器をJPEG-LSへ適用した場合の2値算術符号化の評価,(5)その他のJPEG-LS拡張機能の基本的な評価,(6)予測符号化における予測係数の最適化に関する基礎的な考察を行った.(1)に関しては,既に提案した(7)誤差拡散画像への情報埋め込み方式と(8)誤差拡散画像のブロック符号化方式を組み合わせて,情報を埋め込んだ誤差拡散画像のブロック符号化の評価実験を行った結果をまとめ,発表した.評価実験の結果,使用した試験画像N1のCyan成分では,埋め込み情報量,圧縮率および画像品質の観点から,情報埋め込みのために設定する2値化のしきい値の許容値であるtoleranceは64が最適であることが判明した.これにより,埋め込み情報量を最大までの可変としても,画質劣化を小さく抑えられる.また,Jarvice誤差拡散法では圧縮率を大きく改善できる.(2)に関しては,武久氏らが提案したJPEG-LSへの秘匿情報の組み込み方式を基に,しきい値なしに任意の埋め込みバイト数を埋め込める方式Aとmodulo(256)の縮退を利用した数値の別表現による新たな方式Bを提案し,評価した.
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