研究概要 |
(1)計測した脳波データからの特徴抽出法の検討:計測した多チャネル脳波データから,運動イメージの有無や種類を検出するためのパターン分類法,およびその前段階で実施する必要のある前処理法について比較検討を行った.周波数成分を抽出する前処理法としてAR法,短時間FFT,フィルタバンク,パターン分類法として線形判別分析(LDA)とサポートベクターマシン(SVM)を考え,これらの組み合わせで性能を比較した.その結果,AR法によって推定した脳波の短時間スペクトルに対してLDAを行った場合が,他の手法を用いた場合に比べて成績が良好であった.SVMを用いた場合もほぼ同等であったが,計算量を考えるとLDAで十分な成績が得られることが分かった. (2)対象者へのニューロフィードバック訓練の評価:NIRSを用いて局所的脳血流に関する情報を被験者にフィードバックし,その効果の定量化を行った.運動イメージを行っている被験者の運動野近傍の脳血流量を計測し,そのうちの酸化ヘモグロビン濃度値を被験者に視覚的にフィードバックした結果,被験者5名中3名でNIRSフィードバック訓練の効果が確認された.第1年度~第2年度に実施した脳波を用いたフィードバック訓練の結果に続き,ニューロフィードバックによってBCIの性能が向上することが示された.フィードバック情報のための特徴選択法を改善することで,ニューロフィードバックの能力を向上させる方法を検討することが今後の課題である. (3)事象関連電位を利用したユーザ適応型ヒューマンインターフェースの開発:視覚刺激を用いたBCIを提案し,そのユーザ適応性を向上させるための基礎的な検討を行った.LCDディスプレイ上に表示されるカーソルの移動に伴う事象関連電位をパターン分類することで実現できるBCIを提案し,パターン分類におけるユーザ適用性の向上と,課題遂行時のユーザへの教示の方法を検討した.
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